もっと触れてよ

「どうって…」


一瞬ドキっとした。

今、なんて言われた?


「あんた、俺の事スキなんでしょ?」

「え?」

「見てたら分かる。ずっと俺の事見てんだもん。…違う?」

「……」


図星だった所為か思わず視線が落ちてしまった。

近づく彼の足跡。

そして彼の手があたしの唇に近づきそっと軽く触れた。


「言えよ、好きって」

「……」

「言わなかったら俺から言ってやるよ?あんたが好きって」

「…え?」


今、何て言った?

あたし何て言われた?

もう、頭が真っ白。


「だからずっと待ってた。…お前は?」

「…好き…です」

「なんて?聞こえねーよ」

「あたしも好きです」

「もっと早く言えよ」


フッと笑った彼の綺麗な手があたしの頬を包み、そっと唇に彼の唇が落ち、ギュッと包み込むようにあたしの身体を優しく抱きしめた。

好きなんだよ、好き。


だからもっと、

その手であたしに触れて?

その愛しい手であたしを抱きしめて…


ギュッと…
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