君のためなら
次の日、龍夜があたしに話しかけに来た。

「・・・おい」

無視。

「・・・おい!」

龍夜はあたしの肩をつかんだ。

「・・・何か?」

「あの理科室の落書き、消しといてな」

落書き・・・?

あ、もしかして・・・


-----理科室を使うとき班の男女に分かれて使うことになっている。

あたしとおなじ班の女子は下村一歌。一歌はあたしと龍夜が付き合ってることを知っている。

「澄花!見て!」

「んー?・・・何かいてんのよ!」

一歌は机の中にあたしと龍夜の相合傘を書いていた。しかもペンで-----


「知りません!あれはあたしがかいたんじゃないし」

「そんなん関係ない。まぁ、書き換えといたから別に消さんでいいや」

「は?書き換えたって何に?」

「俺の名前のとこを達也に」

達也。黒木達也。龍夜の心友であり、あたしの友達でもある。

「な、はぁ??意味わからないんですけど」

「こっちだって勝手にかかれてて意味わからんかったんですけど」

・・・なんなんだ。こいつ。別れたと思ったらえらそうな口ききやがって・・・

本当に最低な奴。

「うっさいな。何を言い合いしてんのなよ」

達也登場。タイミングびみょー・・・。

とりあえず達也をこっちの味方につければ・・・

「別に。そういや達也、理科の宿題やったか?」

「え、宿題あったっけ?うわーやってねー・・・龍夜、見せて!」

「しょうがないなぁ」

龍夜と達也はどっかに行ってしまった。

なにこの状況・・・

あの落書き、あたしにどうしとけと?

このときあたしのなかの龍夜は今までの優しい龍夜ではなく、悪魔の龍夜へと変わったのだった。
< 4 / 17 >

この作品をシェア

pagetop