昨日、私の心を奪ったのは彼でした。



「それで、いつ裕也と知り合いになったんだよ?」

「裕也さんの名前を知ったのは昨日の事ですわ。」


裕也と乃梨子の出会いが気になる沙希だが、乃梨子に上手くはぐらかされる。

昨日からずっとだ。

なぜか乃梨子は裕也と何処で出会ったのか、教えてくれない。


「そうじゃなくて!!裕也と初めて会ったのは!?」

「……。」


沙希の質問に、乃梨子は何も答えない。

いや、正確にいえば、答えたくないのだ。


裕也に助けてもらった事を、そうそう簡単に他人に話したくない。

出来れば、2人だけが知る真実にしておきたいのだ。

そんな軽々と、裕也とのことを話したくないというのが、乃梨子の本心だった。


でも、それをどう言えばいいのかも、乃梨子には分からなかった。





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