君がいた奇跡
「ここ、きついよ。
もうちょっと緩めに」


「ここ、ちょっと伸びちゃったね……」



結衣に指摘される度に解いてやり直しした。



直していくうちに慣れて来て、針を指に刺す事も少なくなって来た。





「完成! 」



そして、ついに完成した。

少し編み目が崩れていたが、大事に鞄に仕舞った。



赤い糸で編まれた帽子。



赤は勝利の色だ。



「完成だね……」



俺はつぶやいた。


あとは医師の許可をもらえば、誕生日会ができる。
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