君がいた奇跡
「ゴホッ、ゴホッ! 」

激しい咳と吐き気に胸を押さえるハル。

「こ、ここに戻していいよ」

俺は慌てて洗面器を差し出す。

ハルの表情はとても辛そうだった。

そんなハルの背中をただ、さすって
やる事しかできない俺。

自分の無力さに悲しくなる。

全て吐き出すと、ハルは氷枕に顔を
うずめた。

「落ち着いた? 」

「うん……」

その声は、とてもか細かった。

「ハル、熱あるから、寝な」

その言葉に安心したのか、すぐに眠りに
ついた。
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