運命を変えるため。
「良かった、来てくれなかったらどうしようかと思ってたんだ。じゃあ、行こっか」
新山先輩は、あまり不安に感じていなかったかのようにあっけらかんとそう言うと、さも当たり前のように俺の手を取り、どこかへ向かって歩き出した。
ここまで来ておいて、未だに状況が飲み込めず、やはり俺は新山先輩の言うがままに手を引かれながらついていく形になった。
慣れない土地で良く知らない人間に手を引かれながらついて行くという、非現実的な状況ではあったものの、微塵の恐怖すら感じなかった。
ただ、当たり前のように新山先輩と並んで歩き、どこに行くのか考えるのが、楽しいとすら感じられるのだ。
そのまま数歩歩いたところで、不意に新山先輩が立ち止まった。そして握られていた手を離して、俺を見上げながら悪戯っぽく笑う。