ヘヴィノベル
 前島が再び何か言おうとした時ドアがノックされ、ウェイトレスが注文した飲み物を運んできた。一旦会話を中断し飲み物が各自の前に置かれてウェイトレスがまた出ていく。それを待ちきれなかったと言わんばかりに前島が機関銃のように言葉をまくし立てる。
「でも現実には、学校現場では日教連の組合員の先生たちが好き勝手やっているじゃないですか?そして誰もそれを止められないでいるじゃないですか?それをやらせているのが日教連でないのなら、どうして今みたいな事がどこの学校でも野放しになっているんですか?話の辻褄が合わないと思うんですけど?」
 俺は黙って自分のアイスコーヒーをストローですすっていた。俺の言いたい事は前島が全部言ってくれるし、さすが優等生だけあって俺より前島がしゃべった方が話が筋道立っているようだから、しゃべるのは前島に任せておこう。と思ったら風間さんが俺に話を振って来た。
「さっき日教連総本部で会った人たち、君はどういう印象を受けた?」
「は、はあ。なんていうか、単に人のよさそうなお年寄りって感じしか」
「それで正解だよ。実は僕らはもう何度もあの総本部を訪ねて、数えきれないぐらい何度も話をしたことがある」
 前島がたまらず割って入った。
「じゃあ、どうして今の学校はあんな風になっちゃったんですか?」
「学校の先生たちが好き勝手やっている時、校長先生とか教頭先生とか、そういう偉い人たちはどうしてる?君たちの学校では」
 それまで聞いているのか、いないのか、分からない態度でアイスティーを飲んでいた上条さんが急に言い出した。虚を突かれた前島は一瞬黙り込み、おずおずと答えた。
「見て見ぬフリです」
「じゃあ君たちの親はどう?親御さんたちだって呆れる事が多いでしょ?学校の先生に対して」
 さらに上条さんが畳みかける。それには俺が答えた。
「学校の先生が言う事に間違いがあるはずは無いって言います。それに俺みたいな成績悪いのが先生に睨まれたら将来に響くって言って」
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