放課後の視聴覚室は密の味
窓の外は、ポツポツと降り始めていた雨が、今では糸筋のように見え、激しくなっていた。
でもそれが、まるでメロディーを奏でているように、耳に心地よく響く。
僕の腕の中には奈菜がいて、
僕の手は奈菜の手を握る。
「ねぇ、秀?
もしかして、秀がこのリボンを結んだのって、
私に、その…あの……プ…プ、プロ……」
「プロポーズ?」
コクンと頷く奈菜の耳が真っ赤に染まる。
「その為に?」
「奈菜はなかなか気付いてくれなかったけどな」
僕はクスクス笑う。
「だって、そんなの分かりにくいんだもん」
そうはにかみながら振り向く奈菜は、顔も赤く染まっていた。
「でも、それだけじゃないよ」
僕の言葉に奈菜は
「他にもあるの?」
と、少しの間、真剣な表情をして考え込む。
「やっぱり分からない。
どんな意味があるの?」
「分からないのか?」
少しイジワルに言う僕に、困ったような表情で小さく頷いた奈菜。
「そう。じゃあ、それは奈菜の課題な?
期限は奈菜の誕生日」
僕はそう言うと、奈菜の薬指に結んでいたリボンをシュルッと解いて、自分のポケットに戻した。