夏色ファントム



その夜、俺はじーちゃんの作った山菜尽くしのご飯を頬張っていた。

女の子が教えてくれた山菜。
ふと消えた彼女。
正直、幽霊なんかじゃないと思っている。

「今日さ、変な子に会ったんだよ」

思っていたことがポロっと口から出る。
俺の言葉に対し、じーちゃんは何故か過敏に反応した。

「どんな子だったんだ?」

「うーん……何か浴衣着てた。あと、おかっぱで無愛想だった」

「そうか……お前にも見えたんだな」

「え?やっぱり幽霊とか?」

じーちゃんは神妙な顔で箸を置いた。
俺は眉を寄せ、じーちゃんを見た。

「その子の話、していいか?」

「どうぞ」

気にせず天ぷらをつまむ俺に、じーちゃんは静かに語りだした。

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