夏色ファントム
*
その夜、俺はじーちゃんの作った山菜尽くしのご飯を頬張っていた。
女の子が教えてくれた山菜。
ふと消えた彼女。
正直、幽霊なんかじゃないと思っている。
「今日さ、変な子に会ったんだよ」
思っていたことがポロっと口から出る。
俺の言葉に対し、じーちゃんは何故か過敏に反応した。
「どんな子だったんだ?」
「うーん……何か浴衣着てた。あと、おかっぱで無愛想だった」
「そうか……お前にも見えたんだな」
「え?やっぱり幽霊とか?」
じーちゃんは神妙な顔で箸を置いた。
俺は眉を寄せ、じーちゃんを見た。
「その子の話、していいか?」
「どうぞ」
気にせず天ぷらをつまむ俺に、じーちゃんは静かに語りだした。