珈琲の香り
風花さんの声は、空耳だったのかもしれない。

だけど、あの声で、私の気持ちは決まった。

逃げない。

今、この場からも、涼さんへの気持ちからも。

辛くても、絶対に逃げない。


そう決めたら、なんだかお腹に力が入って、足の痛みも、いつもと違う服装も気にならない。


風花さん。ありがとう……

あなたのお陰で、少しだけ、強くなれた気がします。


今日、お店が終わったら……


もう一度、涼さんに伝えよう。

『涼さんが好きです』って……

また『聞かなかったことにする』って言われるかもしれない。

それでも、涼さんに伝えなきゃ。

自分の気持ち……

風花さんを忘れられない、そのすべてを好きだって。

蒼くんには感じることのできなかった気持ち。

桜と、風花さんが教えてくれた。

恋をするって、辛くて、逃げたくて、でも幸せだって思える。

そのすべてを、涼さんにぶつけよう。

どんな答えが待っていようと……


私の、本当の意味での初恋だから……


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