桜が求めた愛の行方
『勇斗や、おまえには覚悟が出来ていると   思って良いな?』

『はい、そのつもりです』

さくらと本当に結婚すると決めた時から、
覚悟は出来ている。
藤木を背負う事にプレッシャーもあるが、
同時に誇りにも思っている。

『おまえをさくらの相手に選んだ事だけだな  最近のわしの功績は……
 よいか、軽井沢の改装が成功した暁には
 完成パーティでおまえに全てを譲る事を
 発表するつもりだ』

『はい』

『喜ぶのはまだ早い。
 副社長の考えは昔のわしのままだと
 教えておこうと思って呼んだんだ』

『それはどういう?』

『ここからが肝心の話だ。
 息子のものだった株は全てさくらに
 譲られておる。再婚した母親は一切もって  おらん。要人はそのように公的書類を
 残しておったからな』

『そうですか……?』

要人さんはさくらを本当に大切にしていた。
厳しくすることもあっただろが、
いつも心配し、甘やかしていた。
将来どんな形になろうと、娘に不自由を
させたくなかったのだろう。
でも妻に遺さないっていうのも少し
おかしな話だな。

『わしの持ち株は全ておまえに譲る』

『ありがとうございます?』

会長が言わんとすることがわからず
戸惑っていると、次の言葉に衝撃を受ける。

『恐らくそれで副社長の持っている株と
 同じになるだろう』

『えっ!!』

会長はうなずいた。

『わしが入り婿なのは知っておろう』

『でも!!じい様がこの会社を
 ここまで大きくしたじゃなか!あっ……』

しまった!思っても見なかった話の展開に、
ついじい様と呼んでしまった。

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