桜が求めた愛の行方
『数年前にザ・トキオを改装したのを
覚えておられますか?』
『ええ、パパが大好きだったホテル。
改装してとてもよくなったわ』
『はい』
さくらが思い出して微笑むのを見て、
田所も一緒に微笑んだ。
『その改装工事中、勇斗様が社長と
一緒に居たことはご存知ないですよね?』
『ええ、初めて聞くわ』
『社長はそれは楽しそうで……』
彼は必要のない事を言ってしまったと
すまなさそうな顔をした。
『大丈夫よ、続けて』
『その時私はまだ事情を知らなかったので、
《お二人は本当の親子見たいですね》
などと言ったりしました。
それは見た目と言った事ではなく
勇斗様はとても飲み込みが早くて、
私が時間をかけて理解した
社長のコンセプトを、高校生のくせに
あっさり呑み込んでおられました。
社長は口には出しませんでしたが、
この時に気づいてしまったのだと思います
ご自分の気持ちに……』
『彼に後を継がせたい』
『はい』
はっきり言われてさくらは逆に
清々しい気持ちになった。
パパは自分を愛してくれていた、
今はそれが分かる。
だから、パパが彼とそんな風に
過ごす時間があって良かったと
受け止められる。
『それで改装が終わったあと、
酒の勢いも手伝って、
全てを私に打ち明けてくださいました』
『なんとなく言いたい事がわかってきたわ』
『流石です』
『お世辞はいいから、先を続けて』
『はい、藤木の社内にはあれからも
社長の遺志を継ごうと改革を密かに
進めている者達がおります。
そもそもこのまま古い体制を貫けば、
会社は確実に潰れると思った社長が
始めた改革です。
そして初めに言った通り危機は
すぐそこまできています。
私達は社長が作ろうとしたホテルを
潰したくない……』
『それには彼の力が必要なのね』
『はい、機は熟しました』
『でもほんの僅かしかパパと働いていない
彼が急に藤木を建て直せるのかしら?』
『勇斗様が社会に出てからは、
私がずっと側にいましたから……』
『ええ?!あなた、だから佐伯商事に?』
『はい』
躊躇いもなくうなずく田所に、さくらは
黙ってしまった。
覚えておられますか?』
『ええ、パパが大好きだったホテル。
改装してとてもよくなったわ』
『はい』
さくらが思い出して微笑むのを見て、
田所も一緒に微笑んだ。
『その改装工事中、勇斗様が社長と
一緒に居たことはご存知ないですよね?』
『ええ、初めて聞くわ』
『社長はそれは楽しそうで……』
彼は必要のない事を言ってしまったと
すまなさそうな顔をした。
『大丈夫よ、続けて』
『その時私はまだ事情を知らなかったので、
《お二人は本当の親子見たいですね》
などと言ったりしました。
それは見た目と言った事ではなく
勇斗様はとても飲み込みが早くて、
私が時間をかけて理解した
社長のコンセプトを、高校生のくせに
あっさり呑み込んでおられました。
社長は口には出しませんでしたが、
この時に気づいてしまったのだと思います
ご自分の気持ちに……』
『彼に後を継がせたい』
『はい』
はっきり言われてさくらは逆に
清々しい気持ちになった。
パパは自分を愛してくれていた、
今はそれが分かる。
だから、パパが彼とそんな風に
過ごす時間があって良かったと
受け止められる。
『それで改装が終わったあと、
酒の勢いも手伝って、
全てを私に打ち明けてくださいました』
『なんとなく言いたい事がわかってきたわ』
『流石です』
『お世辞はいいから、先を続けて』
『はい、藤木の社内にはあれからも
社長の遺志を継ごうと改革を密かに
進めている者達がおります。
そもそもこのまま古い体制を貫けば、
会社は確実に潰れると思った社長が
始めた改革です。
そして初めに言った通り危機は
すぐそこまできています。
私達は社長が作ろうとしたホテルを
潰したくない……』
『それには彼の力が必要なのね』
『はい、機は熟しました』
『でもほんの僅かしかパパと働いていない
彼が急に藤木を建て直せるのかしら?』
『勇斗様が社会に出てからは、
私がずっと側にいましたから……』
『ええ?!あなた、だから佐伯商事に?』
『はい』
躊躇いもなくうなずく田所に、さくらは
黙ってしまった。