桜が求めた愛の行方

『山嵜さん、これを……』

駄目だとわかっていて、先ほど真島に
作らせた、新しい契約書を差し出した。

ざっと目を通した山嵜は目を見張った。

『これは……こんな事までしてもらっては
 良い関係が築けない。それに、すまないが
 条件の問題ではないんだ』

『そうですか』

やはりな。
一体、副社長はどんな脅しをかけたんだ。

『本当に申し訳ない……
 損害に関してはこちらに相応のものを
 請求してくれ。申し訳ないが
 そろそろ店の仕込みに行かなければ
 ならないんだ。この話はこれで……』

『もう1日!いや、あと半日でもいい、
 考える時間をください!』

たった1日で何ができる?!
心の中で別の自分が嘲笑うが、それでも
勇斗はそう言わずにはいられなかった。

俺がここで諦めたら駄目だ。
真島や部下達の信頼や、期待を裏切る訳
にはいかない

『わかった……
 それで君の気が済むなら明日また』

『ありがとうございます』

『礼を言われても困るよ、どんな条件を
 出されようと、気が変わることはないの
 だから。それよりも早く、別の店を
 探した方がいい』

山嵜は最後まで勇斗と視線を合わせずに
帰っていった。

『くそっ!!』

今度こそ勇斗は目の前の書類を思いっきり
投げつけた。



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