桜が求めた愛の行方
『多分あれだね、ほら、
 マリッジブルーってやつ?
 兄さんが放っておくからだよ。
 そうじゃなきゃ、花嫁があんな
 投げやりなはずないよ、うん』

真斗は勝手に納得している。

投げやりだと?!

俺自身はこの3ヶ月、忙しい中でもさくらと
過ごす時間は楽しいものと感じていた。

幼い頃から知ってるせいか、
彼女のとる距離感や引き際が心地好い。
だからつい彼女も同じ気持ちなのかと
思っていた。

違うのか?

少しずつでも二人の間には
築きつつあるものがあると思っているのは
俺だけか?

《だって、とりあえず、ですもの》

さくらの言葉がこだまする。
くそっ!
このままじゃダメだ!

『兄さん?大丈夫?』

『ん?ああ』

『僕は言いたいことは言ったから帰るよ』

真斗は考え込む兄を見て、
反省していると思ったようだ。

『色々すまなかったな』

『やめろよ。それよりさくねえと幸せにね』

『ああ』
真斗の最後の言葉は胸に微かな痛みを刺した。

田所に連絡して、何としても明日は
休みをもらわねばなるまい。

勇斗はその他にも何件か連絡し、
明日の予定を決めた。

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