桜が求めた愛の行方
どうせ、とりあえず、なのだし。

この3ヶ月心の中には常にその言葉があった。

勇斗が周りの手前か、
婚約者らしく食事に誘ってくれたり、
短い時間だが会いにきてくれたりする度、
私に時間を割くことないのにと
申し訳なく思った。

最初はぎこちなかった会話が、
父、要人の話をきっかけに色々な事を
話し始めると、彼に会うのが楽しみに
なってしまった。

幼い頃と違い、彼は意地悪な事を言ったりせず私を楽しませてくれ、
正直このままこの結婚が本物になればいいのにと思ってしまったのは、
一度や二度ではない。

でもその度に、あの悪夢の食事会で
《好きな人がいる》と告白した
彼の切なくて甘い顔を思い出して、
落胆してしまう。

あんな風には私を思ってもらえない。

思えばあの日、あの時だった。
私は彼がずっと好きだと気づいたのも。
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