桜が求めた愛の行方

2.新居

カーテンを開けられて、
勇斗は眩しい光を感じて眠りから覚めた。

無意識にさくらを求めて腕を伸ばす。

昨日の結婚式は素晴らしかった。

バージンロードを歩くさくらに
沢山のため息と称賛の眼差しが向けられ、
約束通り俺に美しい花嫁だと
自慢させてくれた。

神父様の前で嘘偽りなく
≪誓います≫と言い、
さくらが幸せの涙を流すのを見て
俺の胸もいっぱいになった。

腐れ縁の仲間達から二次会で
しこたま飲まされ、
さくらに抱えられながら上機嫌で
部屋に戻った所まで覚えている。

そして……たぶん…何もしていない……

!!!!!

まずい!!

『おはよう』

頭上からいたわるような声がする。

『いま何時?』

『もうすぐ10時よ』

『なにっ!』

状況を理解しようとぐるりと首を動かした。

『つぅ……』

わずかに頭が痛む。

いや、痛むのは酒のせいだけじゃない。

『大丈夫?!』

慌ててベッドサイドに屈んださくらを
引っ張り上げ、ベッドに戻した。

『怒ってるか?』

『何を?』

『せっかくの初夜だったのに』

『そんなこと……』

顔を真っ赤にしてぷいと顔を反らされる。

『やっぱ怒ってるんだな、
 だから1人でベッドから出たんだろ?』

『怒ってなんかないわ』

『じゃあどうしてそんな格好をしてる?』

すっかり出掛けられる格好じゃないか。

『もしかして?脱がせる楽しみの為に?』

『そんな訳ないでしょ!』

『ふうーん………』

『待って!ダメよ!』

何をしようとしているか察知して、
さくらは慌てて起きあがった。

優しく髪を解いて、キスをねだる。

『さくら……』

吸い込まれるように近づいた唇を重ねて、
舌を割って入れた。
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