夏休み
「星也、これを」
そう言って蒼愧に渡されたものは狐のお面だった。
「これ被るの?」
「うん。それを被る者は鬼祭りの主役だよ」
「へぇ…。主役ねぇ」
俺はそのお面を被った。
蒼愧の口元が少し笑った様に見えたのは気のせいだろうか。
「さぁ、皆待ってる」
そう言って蒼愧は走り出した。
森の中をどんどん奥に進んでいくとチラチラと灯りが見えた。
そしてガヤガヤと話し声も聞こえてくる。
俺はワクワクした。