オリガク! -折舘東学園の日常的(恋)騒動-
「忘れてた……」
「そうだろうと思って持ってきてあげたよ」
「持ってきたのバクじゃん! なんで話しちゃうの!」
「どうせ明日になったら広まってるでしょ。暇潰しに読んでる奴ら多いんだから」
「そうだけど! ああなんで忘れてたの私っ」
ここ1ヵ月くらい忙しくて、すっかり頭から抜けていた。
「おもいっきり巻頭飾ってるんすけど、先輩って写真、嫌いっすよね?」
「余計嫌いになったわよ! 小さく載せてくれるならってことで了承したのに!」
あのやろう! カメラマンが女性だったからって油断した!
「あーもー最悪ぅうう……」
「つまりどういうことっすかぁ?」
「なんだっけ? スカウト断った事務所の人と、この情報誌の編集者が知り合いで? フリーペーパーならどうですか、ってモデルの依頼がきたけど断って、スナップで1回だけでもってしつこくて、渋々了承したんだっけ?」
「うん……。連絡無視してたら、ばったり街で会っちゃったんだよ」
運命だ逃がさねえ!って勢いでスナップ写真お願いされたから、地元情報誌くらいならいいかって……。
「これきりにしてもらう約束だったってことっすか?」
「いやー、守る必要ねえべ。このバンビ先輩マジ可愛いっすもん」
「もっかい見せて。……私もそう思う」
「ぎゃっは! だからバンビ先輩好きっす!」
「うわあ、嬉しー」
「目が据わってるよ、フェアリー系」
だって今さら騒ぎ立てたって、どうにもならないもん。