オリガク! -折舘東学園の日常的(恋)騒動-
先輩って呼んだ……ってことは、ひとつ下の1年生。
「あれは告白じゃなくてストーカー申請」
「ぎゃっは! 確かにそれは言えてる!」
「尾行して近くから見てたってことだべ? 怖くね?」
「マジこえーわ! 出直してくるまでの2週間、何を磨いてくるんだっつー話!」
げらげらと大笑する声に反して全身に悪寒を感じていた。
……訂正。どっちもヤンキーの1年生。
千円札にあたふたしていたのを見られたかもしれないってだけでも屈辱なのに。
まさかこんな不作法を絵に描いたような人たちにまで、昨日の私の行動を聞かれていたなんて。
あの男……!
また尾行なんてしてみろ! 見つけ次第、思いつく限りの言葉でこっぴどく振ってやるわ!
「てかバンビ先輩固まってね?」
「それより噂以上にエロ可愛くね?」
「おめーやぁ、本人の前では可愛いだけにしとけって」
「てめーだって本人に向かってバンビ先輩はねぇべや」
ものすごくどうでもいい!
「行っちゃうんすか?」
立ち去ろうとする私に声をかけてきたのは、私をバンビ先輩と呼んでいる男の子だった。