死にぞこないの神【短編】
死にぞこないの神
『ここはどこなのかしら?』

私は四角いガラスの箱の中に入っている。

辺りには誰もいないみたい。

たまにカメラを持った人達がくるわ。でも一年に一、二回。

ほとんど独りぼっちで正面の観音様以外誰もいない。
黒い格好をした人が毎朝来て、なにやらぶつぶつ言い出すけどそれが何かはわからないの。

悲しいなぁ…
以前は隣に男の子がいた。

とても澄んだ目をしていて海のように深い青だった。

いつも傍にいてくれて嬉しかったし、髪をクシで解かしてくれていた。
私はそんな彼が大好きだった。
< 1 / 20 >

この作品をシェア

pagetop