ショコラ SideStory
*

 そして月曜日のランチタイム。
昼休みも終盤というような時間に葉山さんはやってきた。


「いらっしゃいませ」

「やあ、やってくれたな」


あたしの頭をコツンと叩いて、それでも嬉しそうに葉山さんは笑う。


「……成功でしたか?」

「君に感謝したくなるくらいにね」

「それは良かったです」


あたしが笑うと、葉山さんは楽しそうにコーヒーを注文した。


「いい跡継ぎがいてマスターも安泰だな」

「それはどうでしょうね」


あたしを跡継ぎになんて、親父は考えてないと思うけど。


「是非また、ご注文ください」

「そうだね、サプライズが欲しい時に是非お願いするよ」

「お待ちしています」


楽しげに店を出る葉山さんの後ろ姿を見送って、あたしの中には達成感と充足感が満たされていく。


「今葉山くん、来てたか?」

「うん」


注文の品を両手に抱えながら、親父が厨房から顔をだす。


「昨日の晩も来たんだぞ。詩子、オーダー通りに作らなかったそうだな。なんで俺に報告しない」

「え? でも」


喜んでたじゃん。結果オーライじゃないの?


「結果は良くても、店としては注文と違うものを作るのはNGだ。そういうのやりたいときはちゃんと相談しろ。責任者は俺だぞ」

「……ごめんなさい」


言われてみればその通り。
さっきまでの高揚感はすっかり萎んでしまった。

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