ショコラ SideStory
「お待ちしておりました。ご注文の品はこちらになります」
「ありがとう。うわ、さすがマスターだね、綺麗なケーキだ」
「あと、こちらのクッキー。あたしが担当させていただいたんですがいかがでしょう」
「ああ、可愛いね」
「おとうさん、わたしもみたい」
娘さんが食いついてきた。
腰を低くして彼女の目線までクッキーの箱を下げると、そこに入っているアイシングクッキーを目を食い入るようにして見ている。
「うわぁ、すごい。おかあさん、コレすごい」
「ホントだ。素敵ね。……わあ、メッセージまである」
「ぜひお一人になってからご確認ください」
あたしの意味深な一言に、彼女は不思議そうな顔をした。
でも秘密に気づくのは今じゃない方がベストだわ。
ご夫婦の愛の語らいは、子供が寝てからの方がいいでしょ。
「さて、お包みしますね。もう少々お待ちください」
丁寧にラッピングを施し、大きな袋にケーキとクッキーと保冷剤を入れる
「ぜひまたご感想をきかせに来てください」
「うん? ああ、また来るよ?」
通じたのやら通じないやらわからないけど、とりあえず葉山一家は帰っていった。