ショコラ SideStory
「隆二くん、電話してよ」
一人イライラしながら、隆二くんをせっつく。そこから電話し、繋がらず、メールし、返信待ち、と一連の作業をすること更に十分。私は苛立ち過ぎて疲れてきた。
隆二くんは慣れた調子で、私を宥めるように背中を撫でた。
「ダメだな。先に入ろうか。メールでそう伝えとくから」
「そうですね」
ふたりはいつものペースを崩さず、店の中へ入っていく。私が予約の名前を告げると、愛想の良いお気に入りの店員さんが出てきて、案内してくれた。
「桂木さん……じゃなかった。相本さん、お久しぶりですね」
「ええ、あ、これうちの旦那なの。よろしくね」
「どうも。相本さんにはいつもご贔屓にして頂いています!」
「あ、そうなんだ」
隆二くんは若干たじろいでいる様子。このくらい元気のいい店員さんがいた方が私は好きだけどね。また来ようって気になるもの。
部屋に通され、私が主導権を握ってメニューを決めていく。
まずは森宮ちゃんの鉄壁の守りを崩さねば、とお酒も投入。
「今日は飲むわよ、森宮ちゃん」
「ハイ。頂きます」
お酒を中心に勧めること三十分。
「それにしても遅くない?」
「お仕事抜けられないんですよ。きっと。今日は康子さんたちがいてくれるから嬉しいです」
「いつもは一人で待ってるの?」
「そうですねぇ……割とそうかなぁ」
森宮ちゃんのクダが回り始め、若干泣きが入ってきた。
つかここまで待たされると、泣きたいというより呆れるけどね。
むしろなぜ森宮ちゃんが香坂くんに執着するのかソッチのほうに疑問を感じ始めてきた。