ショコラ SideStory
全ての格好を整えてから店に戻ると、親父も帰ってきていて宗司さんを睨みつけていた。
いちいちつっかかんのは辞めなさいよ。
器が小さく見えるわよ。
「お待たせー」
「あ、詩子さ……」
ホッとしたようにコチラを向いた宗司さんが一瞬固まる。なぜか親父も。
なによ。なんか変なもんついてる?
「何なの、二人共」
「いや……一瞬康子さんが来たのかと思った」
「……キレイだなぁと思って」
我に返ったのは一瞬のタイミングで親父の勝ち。
褒め言葉も、タイミング合わないと間抜けに聞こえるのよね。なんでかしら。
「今日の服、前に母さんがくれたもんだからね。あたしじゃ選ばないような柄だもん」
「だからか。……ああ。康子さん今日来るかなぁ」
「夫婦なんだから、早く一緒に住みなさいよ」
急かしては見るけど、母さんが今住んでる家を手放したくない理由も分かる。
死んだおじいちゃんとおばあちゃんが暮らしてきた家だもの。
まだ人が住むには申し分ないほどの年数だし、住まないと家は痛む。
思い出とかもあるんだろう。