ショコラ SideStory

結局自分からは言い出してくれなさそうなので、しびれを切らして聞くことにする。


「それより、森宮さんとどうなったんですか」

「あ? ああ。まあ。お陰様でなんとか」

「プロポーズしました?」

「ああ。まあ、したというかされたというか」

「……早々に尻に敷かれちゃった方が多分楽ですよ、香坂さんの場合」


本気でそう思う。
感情が表に出すまでが長すぎるんだ。
普通の女の子なら待てずに他の男に走るのはあたりまえだと思う。

これを待てる彼女は、ある意味大物なんじゃないだろうか。


「良かったですね。森宮さんみたいな人がいて」

「ああ。そうだな」


照れ隠しにコーヒーを啜り、「あちぃっ」とカップを落としそうになる香坂さんを見ながら、想像する。
一体どんなプロポーズをしたのだろう。

何パターンか想像してみるけれど、どれも香坂さんのキャラには当てはまらない。

まあ、いいか。
幸せのかたちはそれぞれだから、きっと他人にはわからないものなのだろう。



< 224 / 432 >

この作品をシェア

pagetop