ショコラ SideStory
結局自分からは言い出してくれなさそうなので、しびれを切らして聞くことにする。
「それより、森宮さんとどうなったんですか」
「あ? ああ。まあ。お陰様でなんとか」
「プロポーズしました?」
「ああ。まあ、したというかされたというか」
「……早々に尻に敷かれちゃった方が多分楽ですよ、香坂さんの場合」
本気でそう思う。
感情が表に出すまでが長すぎるんだ。
普通の女の子なら待てずに他の男に走るのはあたりまえだと思う。
これを待てる彼女は、ある意味大物なんじゃないだろうか。
「良かったですね。森宮さんみたいな人がいて」
「ああ。そうだな」
照れ隠しにコーヒーを啜り、「あちぃっ」とカップを落としそうになる香坂さんを見ながら、想像する。
一体どんなプロポーズをしたのだろう。
何パターンか想像してみるけれど、どれも香坂さんのキャラには当てはまらない。
まあ、いいか。
幸せのかたちはそれぞれだから、きっと他人にはわからないものなのだろう。