ショコラ SideStory
世間話が続くこと十分。森宮さんは、スマホと窓の外を一度確認し、諦めたように笑った。
「香坂さんはきっと遅れてくるので、先にはじめましょうか」
「相変わらず遅刻常習犯なんだな」
「仕方ないです。現場トラブルとか色々あるだろうし」
「遅れてもいいんだけど連絡一つできないのがあの人のダメなところだ。……詩子、こっちにこい。森宮さん、今回のクッキーはこいつが担当します。知ってると思うけど、娘の詩子です」
「こんにちは。本当に康子さんそっくりね。美人さんだわぁ」
ペコリと頭を下げたあたしに、森宮さんはケタケタと笑う。
まあね、母さんを知っている人は皆そう言うけどね。
「頑張りますので、よろしくお願いします」
「ええ、お願いします」
「いくつか試作品を作ってみたんです」
あたしは、ドキドキしながら厨房からラッピング見本と、お皿にのせたクッキーを持ってきた。
お花型のクッキーは、アイシングで一枚一枚花びらを描いた華やかなもの。
鳩のクッキーは、白を基調とした清楚なイメージで、体の部分にピンクでリボンをつけている。
ハート型のはポップな感じで、ピンクやオレンジを使ってアラザンもまぶして華やかに仕上げた。
「うわあ、可愛い」
パッと森宮さんの顔が華やぐ。
とりあえず第一印象は悪くなさそうだなと、ホッとしつつ説明を続けた。