ショコラ SideStory
でも、一応その希望は叶えられたってことなんだな。
「でもさ、森宮さん綺麗だし、格好いいし、なんでそこまで気にするのか分かんない」
例え半年遅れたとしても、そう変わるものでもないと思うんだけど。
「そりゃ、今の詩子には分からないでしょうよ」
「そんなもん?」
「いくら外見若く見えるって言ってもね、現実問題、体で感じるもんなの、年齢って。妊娠とかも考えればそれは焦るでしょうよ」
「そっか」
こればかりは今のあたしでは想像しか出来ないや。
「で? お仕事はうまくいきそうなの? 詩子」
温まったパスタを持ってテーブルに腰掛けた母さんの向かいに、二人分のお茶を淹れて座る。
「うーん。なんとも言えないかな。修正案を出すところ。……参考までに教えてほしいんだけど、母さんたちは結婚式しなかったんだよね」
「そうね」
「なんで? できちゃった婚だったから?」
母さんは、フォークを動かす手を一度止めると、リモコンをとってテレビをつけた。
何よ、話してるのに、と思ったけど、別にごまかすつもりでつけたわけではないらしい。
その証拠に、しばらく待っていたらちゃんと返事がきた。
「……詩子、いくつになったんだっけ」
「あたし? 二十三よ。今度の誕生日で二十四」
あたしの誕生日は四月だ。
「そうよね。私が結婚した時とそう変わりはないのよねぇ」
感慨深げに呟いた母さんは、パスタを一口食べ、視線をテレビに向ける。
ついてはいるけれど、真面目に見ていないから内容は分からない。ノイズがただ沈黙の時間を埋めるように流れている。
やがて母さんは、吹っ切れたように笑った。