ショコラ SideStory
福ちゃんは昔はうちの専属だったけれど、10年ほど前から独立してフリーのカメラマンとして働いている。
まあでも、昔のよしみでうちの会社は福ちゃんに写真を頼むことが多い。特に技術の必要な写真に関しては。
「別に風景って決めてるわけじゃないぜ? たまたま来る仕事がそんなのばっかりなだけだよ」
「ふうん。あ、でもちょうど良いわ。ねぇ、人物写真を上手く撮るのってどうやったらいいの?」
私はデスクの引き出しに入れていた一眼レフカメラを取り出す。
福ちゃんはひったくるようにそれを取り上げると、色んな角度からカメラを見回した。
「へぇ、いいね。最新式だ。これならどれだけ下手でもそれなりの写真とれるだろ」
「実際撮ったのよ、私が。ほら見て、なかなかいい男に撮れてるでしょ?」
開いて見せるのは『EAST WEST』の最新号。
『デキるOLのこだわりの一品』の取材で撮った松山くんというイケメン男性写真の写真を見せる。