ショコラ SideStory
「ああいいね。光の具合もちょうどいい。まあそれはたまたまかな」
「いい男だったから勝手に腕も上がったのよ、きっと」
「はは。相変わらずだな。それでいて康子ちゃんは一途だもんな。参る」
「一途って……そんなことないわ。割と恋多き女よ、私は」
「でも結局元の男に戻るような女じゃん」
「うるさいな」
雑誌を持ち上げて福ちゃんの頭を軽く叩く。
……調子が狂うわ。
福ちゃんとはグルメ雑誌時代にコンビを組んでた。
それはちょうど隆二くんと出会った頃で、その頃の弱みは全部握られている。私が唯一強気になりきれない相手だ。
「話を戻しましょ。この企画だと私自分で写真撮らなきゃいけないのよ。なんかコツとかあったら教えてよ」
「あんまりいいカメラが出られると商売上がったりなんだよねぇ」
からかうような口調でこぼした愚痴は本音だろう。カメラマンはカメラマンで苦労があるのだ。