ショコラ SideStory
それから一週間。仕事は順調、体調も万全。フットワークも軽く会社から出ると、入り口付近で福ちゃんに遭遇する。
「お、康子ちゃん」
「福ちゃんお疲れ」
「あー待て。『ショコラ』行くならこれ持ってって」
「え?」
「康子ちゃんの旦那にプレゼント。康子ちゃんは見るなよ」
「はぁ?」
そういわれると見たくなるけど、まあいいわ、郵便屋さんになってあげようじゃないの。
今日は帰りが早いから、『ショコラ』はまだ営業中。
ゆっくり隆二くんと話したいから、今日は最初から厨房に入れてもらう。
「今日は帰ったら詩子のカレーだぞ」
少し浮き浮きしている彼に先ほどの封筒を手渡す。
「何だこれ」
「知らない。福ちゃんが隆二くんに渡せって。ねぇ、何で福ちゃんと知り合いなの?」
「知り合いってか、昔ちょっと話したことがあるだけだよ」
嫌そうな顔をしながら、封筒を開きまたすぐ閉じる。
そのいかにも怪しげな様子が気に入らない。