ショコラ SideStory

 ――――――すげぇ美人が入ってきたな。

それが彼女の第一印象。





 俺と康子ちゃんがグルメ雑誌でコンビを組まされたのは、俺が24歳で彼女が22歳の時だ。

俺はカメラで食えるようになって数年経っていたけれど、彼女は新人に毛が生えた程度の職歴で。

俺は最初にその話を聞いたとき、思わず浮き足だってしまったほどだ。


何せ康子ちゃんはとびきりの美人だったし、黙っていればたおやかに見えたから。
初取材するときの緊張を慰めてやったら恋愛に発展しねーかな、とか下心も満載だった。


だけど、そんな欲望は取材時の彼女を見ていてぶっ飛んだ。


「これ、とってもおいしいです。何が入ってるんですか?」

「いやあ、そこは企業秘密なので」

「じゃあ、こういうアイディアが浮かんだきっかけとか」


物怖じもせずに、相手の懐にどんどん飛び込んでいく。
しかも彼女は自分の容姿の良さを武器として使うことにためらいが無かった。

もうなんか、恋愛とかそういうのを超えた次元で思ってしまったんだ。





 ――――――この女、すげぇって。





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