ショコラ SideStory
隆二くんが、駅前ではなく駅から少し離れたところに店を建てたのには、何か意味があったのかしら。
途中には団地があり、その中に公園もある。
街の中にあるのに、どこか自然を感じられるのはいいわね。
やがて見えてくる『ショコラ』。
大通りに面しているから辺りが真っ暗ということはないのだけど、大きくガラス窓がとられているからか、お店全体がまるで大きなランプのように見える。
いざ入ろうとした直前、扉が開いてびっくりした。
「きゃ」
「あ、すいません。……あ、康子さん」
「あら、マサくん。もう上がりなの?」
「ええ。マスターが今日はもういいって。……なんだ、康子さんが来るから追い出したかっただけなのか」
「そんなことないわよ。今日行くなんて教えてないもの」
「いやいや、絶対そうです。最近夕方過ぎるとウキウキしてるんですよ」
にっこり笑うと、かなり爽やか。
この子もいい子よね。
私的には宗司くんよりはマサくんなんだけど。
なんで詩子は宗司くんのほうがいいのかしら。