【 いじめたがり 】
いじめたがり
「なぁ、やっぱりやめようぜこんな事!」

「うっさい。キミだってノリノリだったでしょ?」

「いつ!? 俺が!?」

 顔を真っ赤にして否定する私の彼は今、もわもわした毛がついた手錠をされてベッドに横たわっている。

 されってっていうか、まあ、私がしたんだけど。

 彼は私が言うのもなんだけど、中々のハンサムじゃないかな?
 その顔を手で軽く叩く。

「も、やめろよ!」

 困った顔で、迷惑そうに言う彼はやはり可愛い。

 思わずにやけてしまう。

 そのまま彼に馬乗りになって、何か言いたげな彼の唇を塞いだ。

 そのまま、舌を首筋に下ろして撫でていく。

「あっ」

 彼の吐息が漏れる。

「ふふふ」

 私は思わず笑ってしまった。

 彼の顔に視線を戻すと、案の定彼は顔を真っ赤にして目線をそらした。

「なんだ、やっぱり好きなんじゃん?」

「す、好きじゃねえよ!!」

 ムキになる姿が可愛い。

 内側の太ももをなで上げると、彼はいっそう赤くなって困惑した表情を浮かべる。

 ああ、私はこの表情が好き。

 もっともっと、困った顔が見たい。


 ――いっそのこと泣いて欲しい。
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