【 声 】
 その声を聞くだけで、私は何でもしたくなってしまうの。
 
 ウズウズが止まらない。
 
 彼が何も言わずに私に触れて、キスをした。

「ん……」

 吐息が漏れる。

 本当は彼の首に手を回して抱きつきたいのに、かけられた手錠が邪魔をして抱きつけない。

 はやく、はやく、何でもいいから言って。

――その声を聞きたい。

 耳元で、彼が私に命令を下す。

「はい」

 私は躊躇もなくそれに従ってしまう。

 その低い声で囁かれると、逆らうことなど出来ない。

 むしろ、彼のためにもっともっとしたくなってしまう。

――私って変態なのかも。

 最近よく私はそう思う。

 実はちょっと落ち込んでいる。

 そんな私に彼の優しい眼差しが降りてきた。

 耳元で、私の大好きなその声で囁く。


「 好きだよ 」


 ……ずるい。

 その一言で、やっぱり私は何でも聞いてあげたくなってしまうの。


 ――ねえ、もっと命令して♪
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