第1章 始まり

不審死

「今日は、大変悲しいお知らせがあります…」
一斉に、クラス中がざわめく。
「このクラスの、鈴木紗枝さんが…昨日、自宅で変死体で発見されました…」
そんななか、高杉麻衣は、手で口を覆って、ただ目を見開いていた。

「…うそ…」
心臓が…破裂しそうだ。
昨日、あたしは紗枝に電話した。
そして、最後に彼女は、言ったんだ。

”タスケテ!!”

あたしは、彼女の家に向かった。

「あら、麻衣ちゃん…。あの子のために来てくれたの…?ありがとう…」
時々嗚咽をもらしてしゃべる姿が痛々しい、紗枝のお母さん。
「あの…。紗枝のこと…聞いてもいいですか?」
「あ……。…いいわよ…。麻衣ちゃんだから…」

あたしは、彼女の死に方について尋ねた。
学校の先生が”変死体”なんて、よっぽどのことが無い限り言わないだろう。
そして、紗枝のお母さんの百合子さんは、途切れ途切れに、それでも、詳しく教えてくれた。
紗枝は、その死体は、腰から下は廊下に、右腕はベッドの上に、左腕の付いたままの肩の部分はベランダに、胴の部分はテーブルの上に置かれていた。
あたしはひとつ、疑問を抱く。
「あの……頭……頭部は…?」
「…!!」
突然、百合子さんは立ち上がった。
「あの、大丈夫…ですか?」
「…えぇ…」
一番ひどかったのは、頭部。
ほかの部位は、斧か鉈で切られたような、スパッとした切り口だった。
しかし、頭と胴体を繋ぐ、首だけは…まるで、手でパンの生地を引きちぎったような、そんな切り口だったらしい。
髪は全て毟り取られ、口に押し込められていた。
しかも、ところどころの頭皮は剥がれ落ち、グジグジになっていたらしい。
目は見開かれ、白目をむいていた。
あたしは全て聞いた瞬間、めまいがした。

彼女の家を後にすると、携帯電話に着信があった。
番号は、紗枝。
「…えっ…!?」
心臓が、口から出てきそうだ。
震える手で、通話ボタンを押す。
「もしもし…?」
相手は答えない。
「ザァァァ…」
そして、その電話はプツリと切れた。
「なんなのよ…ッ!!」
ピッと、携帯を切る。
すると、また着信。
知らない番号。
「…も、もしもし…?」
恐る恐る携帯に出ると、
「小野寺です。」
同じクラスの、小野寺さんからだった。
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