先生+生徒-学校【67頁】+【160頁】
「早速サボって何やってんのぉ?」
「ほっときなよぉ、ねえー、帰るところなんでしょ?」
「こんな子がクラスにいて、リョースケ先生かわいそー」
面白半分にやじるだけで通り過ぎていくのかと思いきや、
彼女達はどんどん、近づいてきた。
私は震えながら、あとずさる。
足がもつれて自分の足につまづきかけて、
慌ててうしろ手で、壁に寄りそって体を支える。
取り落とした自分の鞄を蹴っ飛ばして、
それを追おうと中腰のまま手を伸ばして、
彼女達の目の前に飛び出しそうになってあわてて引き返す。
勢い余ったかかとが後ろにぶつかって、
ごんッガタンッと異様にうるさい。
ぎゅっと抱えてたはずの私の軽い鞄は、
長い廊下をスライディングしていく。
私のあわてぶりに、彼女達があっけにとられている。
冷たい金属の感触に、
自分が背中をつけてるのは壁じゃなくて、ロッカーだとわかる。
ひざが笑う。
キョロキョロと視線が定まらない。
あと数歩、の距離まで近づかれて、
気づかれた。
私が、不自然に脅えていることに。
彼女達はいぶかしげに顔を見合わせて、
それから、
それから、クスクスと笑った。
・・・あ。
やばい。
じわあっと紙がインクを吸うように、
彼女達の笑顔に、
いやあな歪みが染みわたる。