ラブ☆ロマンス
* 泣きたいキモチ *




「葵!」



 広い大学校内で一際おっきな声で呼ぶ彼。



「……佐伯くん」


 私の恥ずかしさなど微塵も気づかない彼は、いつもの笑顔で駆け寄ってきた。


「次同じ講義だろ?
 一緒に行こう」


 ……痛い。
 女子の皆さんの視線が痛いっ!


「ん?」

 ジトーと見るも、彼は相変わらず気づかない。


「……なんでもない」

 痛い視線にダメージ受けながら、そのまま教室まで向かった。







 蒼くんに黙って帰ったあの日から、すでに二週間。
 何度か電話とメールがあったけど怖くて出なかった。


 ……今はもう、連絡がない。



 呆れられたかもしれない。……本気で。




< 36 / 84 >

この作品をシェア

pagetop