ラブ☆ロマンス



 ―――本当は嘘。



 確かに蒼くんの袴姿は好きだけど……
 それでも、今日は2人でいたかった。


 だけど……新しい弓の試し打ちを顧問の先生に頼まれたら断れないし。

 仕方なく、一時間だけやる事になった。


 ……蒼くんも撃ちたそうだったし……。




「……足、痺れちゃったよ」


 小さく呟いて足を崩すと、ちょうど蒼くんが弓を片付けてこちらに向かって来た。



「待たせてごめん。
 すぐ終わるから、もう少し待ってて」


 前髪が汗で少し濡れてる。
 そのせいか、かなり色っぽい彼が目の前にいて。

 恥ずかしさのあまり黙ってる私に気付いた蒼くんは、わざわざ屈んで、私の耳に優しく息を吹きかけるように……


「いい子で待ってて?」



 ―――っ


 真っ赤な顔で見上げた私を、満足げな顔で見下ろすと、そのまま弓道場から出て行った。



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