ラブ☆ロマンス
* 君が好き *




 ―――タンッ…


 ……ギギ……―――スタンッ…




 艶やかな黒髪に切れ長の瞳の綺麗な男の子。
 そんな彼の、真っ白な袴姿で弓を引いてる姿に、言葉が出なくて。


 ただ静かに見つめてた。




「退屈じゃないですか?」


 彼を見つめてる私に声をかけたのは、弓道部の部長。


「全然!」

 私がニッコリ笑って答えると、部長も同じように笑った。



「正座、崩しても大丈夫ですよ?

 今日はデートの邪魔をしてすみません。
 本当は明日でも良かったんですけど……」


 そう言って、チラッと蒼くんを見た部長。
 蒼くんは気付きもせず、どんどん弓を撃っていく。



「ううん。大丈夫!
 私、袴姿の蒼くん大好きだから♪」


 私の言葉に、部長はホッとした表情で
「本当にすみません」
 と、もう一度謝ってから蒼くんのもとに向かった。



< 8 / 84 >

この作品をシェア

pagetop