花蓮【完結】
どうしてこうも、皆あたしに甘いんだ。
あたしがしようとしてることを認めてくれるんだ。



生きててよかったのかと。
そう、思えるじゃないか。




あたしは生きててよかったのかと。





親に見放されてるのなんか、とうの昔に知ってた。
家には必要最低限の食料しかなくって。

家にいる時間を外で過ごすようになったら。
いつの間にか道を踏み外していた。





腹減ったら万引きして、カツアゲして。
それが生きて行くことなんだと思ってた。



だって、だれもあたしに教えてくれなかったから。
普通の生活とか。
平凡な暮らしとか。
常識とか。
愛情とか。
何もかも。





だから、そんなあたしは生きてる価値なんてないと思ってた。



花蓮だけが居場所だと思ってて。
男に入れこんだら、この花蓮すらなくしてしまうような気がして。



自分で境界線作ってて。
それを踏み越えたら。
もう、戻れないと思ってた。





井上麻美はこの世に生きててよかったんだと。




花蓮の仲間が。
認めてくれる。




こんな力強い後押し他にあるか。
あたしは卒業したら言うんだ。



哲に好きだと。




そう、心に決めた。
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