花蓮【完結】
扉を開けて、今帰宅したのか顔を見せる朱美。
その後ろに琴子。




「…何でもねえよ!」

そう言うあたしの隣でニヤニヤしながら佐緒里が言おうとする。

「あのね、麻美が…」


「言うな!!」


「いいじゃーん!幸せおすそわけえ」


「あ、哲とうまくいったの?」


「あああああああ???」



必死に止めようとしたのに!
な、何でわかるんだよ!
朱美は!!




「わっかりやっす~い。
麻ちゃん!かあわいいっ」


そのあたしの慌てぶりにことが笑って言った。

多分。
図星って顔してたんだろうよ。





「…………う、うるせー」

ぼそっと言うあたしの後、ことに続いて、朱美と佐緒里が口々に喋り出す。


「照れてるー」


「麻美、まじ乙女」


「ぎゃはは!私と朱美同じこと言ってる!
いで!」


あたしは佐緒里の頭を思い切りゲンコツで殴った。
あたしの手もいてーわ。




恨めしそうにあたしを見つめる、いや、睨みつける佐緒里。



それを保護者役の朱美が慰める。
不貞腐れる佐緒里の横で朱美が、少し微笑みながら


「だけどさ、こうやって笑い合う機会も少なくなるんだろうな」



そう、呟いた。
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