花蓮【完結】
残された三人はしばらく口を開かなかった。

今見たことが信じられなかったんだと思う。




その沈黙を破ったのは東矢だった。





「まさか、哲さんがあんなに女に執着するなんて」


「どういうこと?」




それは執着する哲がおかしいみたいな言い方。


佐緒里は訝しげな顔で東矢を見た。



いくらかっこよくたって、麻美が傷付くのは嫌だ。

勧めてはいたけど、たらしなら話は別だ。






「いや、哲って言ったら本当に女ったらしで。彼女なんかいない期間ないぐらいのモテ男」


東矢に補足するように信司が言った。



「ええ!?」


驚く佐緒里に、東矢も頷きながら話す。


「まじで。だからさっきも俺、麻美ちゃん庇おうとして好きだなんて言ったんだけど」


「あ、あれ嘘なの?」


「んー半分?」






東矢は苦笑しながら頭を掻いている。

きっと、麻美のことは憧れ半分だからはっきり好きとは言えないんだろうな。




佐緒里は、そう納得する。



そんな男を何人も見てきた。





麻美はいつだって、憧れの存在だったから。


男にとっては高嶺の花だった。
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