花蓮【完結】
「哲さん、頭あげてくださいよ…」


「いーや、俺に譲ってくれるまでは上げない!」





茶化すでもなく、真剣に言う彼に東矢は溜息をつくと、諦めたかのように哲を促した。






「わかりましたから…頭上げて下さい」


「ほんとに?」





その言葉を聞くや否や、がばっと頭を上げて哲は東矢をみる。


満面の笑みであたしの方を見て、また東矢をみる。






「じゃあ、麻美ちゃん連れてくね。行くよ、麻美ちゃん」


「あ、はい」






まだ呆けている皆を置いて、あたしの腕を引っ張る哲。

そのままファミレスの外に出る。





三人の視線が背中に突き刺さるのを痛いぐらいに感じながら。
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