花蓮【完結】
哲の手があたしに触れて、びくっとする。


一瞬哲が手を戻そうとしたが、すぐに力強く掴んできた。







「…返事は…?」







泣きそうな、切ない顔で笑う哲。


そんな顔、卑怯だ。







「……」






何も言えない。


いつもなら簡単に断れるのに。


そんな簡単に断っていい内容じゃない気がして。



真摯に受け止めないといけない気がして。








「……待って欲しい」






それしか言えなかった。

そうとしか言えなかった。






保留にするのはずるいと思ったかもしれない。



だけど、真剣だったからこそ、今すぐには返事を出せなかった。







哲を好きなのか?

そう、問われたら違うと答える。




だけど、付き合うのか?


そう、問われたら違うと答えられないあたしがいる。





矛盾してるけど、今のあたしの心の中はそれが本当に答えだった。
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