千年の追憶*番外編*
台所であたしは、またも考えに耽ってしまった。


早時はあたしを覚えているだろうか。


あたしの顔を…アザを…忘れる訳ないよね。


出会った時、まだあたしは幼くて早時には釣り合わなかったけど、今ならあたしの想いは叶うだろうか。


あの美しい鬼に、魅入られてしまったの。


こんな醜いあたしでも、鬼ならば愛してくれるだろうか。


だって、早時はあたしを見ても驚かなかったから。


淡い期待はしない方がいいの?


「いけない。いけない。
お粥、炊かなくちゃ。」


あたしは、ぶんぶんと顔を左右に振った。


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