二重人格神様
「…ふふ…お姉様って」
なんか、くすぐったいな。そんな呼ばれかたされたことないし
呼ばれた私も照れてしまい、僅かに頬を赤くするとグレン君は更にニコリと笑う
「だって…兄様の…お嫁さんだからっ」
「あー…はは」
「だから、お姉様…」
ま、まぁ…偽物のような物だけどね…だから、なんかくすぐったいけど、後ろ髪を引かれちゃうんだよね
「グレン君、いのりでいいよ?」
「え?」
「いのりねぇ様?」
「ねぇ様はいらないよ。いのりって呼んで」
「え、でもぉ…」
チラリとグレン君はアレスを見つめ、それを見たアレスは口を開く
「グレン様、いのり様が許可しているのです。遠慮することはありませんよ」
「あ…ぅん…じゃあ…いのり!」
「うん!」
さっきまで泣いていたのが嘘のように笑顔になり、元気よく名前を呼ぶ
「僕…いのりを気に入ったぞっ!」
「え?…私を?あはは!ありがとう」
「うん。僕ね、いのりが兄様の…花嫁になるのを応援するからなっ!」
「あ…はは」
「アレス!お前もするんだからな!」
「え?あ、はい。もちろんです」
「うんっ!」
「ほら、グレン君、それより早く手当てをしよう。また髪の毛汚れちゃうから」
「あ、うん」
興奮するグレン君を落ち着かせ、それから手当てを再開した
グレン君とのこの日の出来事…これがきっかけで…私は更に危ない目にあうことを
この時の私には分からなかった―…
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