二重人格神様
「…あ」
「………」
か、海鈴さん……
その仕草に言葉を失い、そのまま彼を見つめると頭を撫でられ海鈴さんは窓に脚をかける
「アレス、頼むよ」
「はい」
「それと、あの部屋は危険かもしれないから、今日は僕の部屋に」
「かしこまりました」
「…海鈴さん…」
そう私が名前を呼ぶと同時に海鈴さんは、振り向くこともせず、窓を飛び降りてしまった
「………」
そんな…海鈴さん…っ
胸が痛み、涙が零れそれを強引にふくとアレスがそっと私の背中にふれる
「…………」
「…アレ…ス…」
「…………」
「………」
この時、アレスは何も言わなかった
言わないで、ただ、私の背中に手を添えていてくれた―…
そして、私は改めて感じた。守ってもらうと言うことの意味を
あの時は、精一杯で守る意味を考えなかった
私に見張りをつけたり、夜に海鈴さんがいてくれるだけじゃない
あれは始まりに過ぎなかったんだ。
だから、この出来事は私の中で不安を生んだ
本当に、これで良かったのかと
海鈴さんのことを考えれば、考えるほど
約束と言う言葉は私を苦しめた
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