二重人格神様



海鈴さんが聞いたら怒りそうだ


グレン君の言うことが可笑しく、クスリと笑うと今度は背中に抱きついてくる



「…いのり!」


「はぁい」

「いのりは僕の味方だから、僕もいのりの味方だよっ!兄様に何かされたら僕がこらしめてやるっ」


「あはは、ありがとう」


「うんっ…だから、いのりは兄様の正式な嫁になるんだぞっ!」


「…あ」


「いのりだったら…僕…すっごく…うれ、しい…っ」


「………」



その言葉を最後に背中に重みがかかり、振り向くとグレン君は瞳を閉じて寝息を立てている



え…ね、寝たの?


……疲れたのかな…そうだよね…なんか、ハードな1日だったし



「起こさないようにしないと…」



そう思いグレン君をおんぶしゆっくり立ち上がると、私達を優しく冷たい風が吹き抜ける


「………」



グレン君…今日は、色々ありがとう。そして、ごめんね…



その言葉を胸の中で思い、わたしは静かにその場をあとにした――…










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