二重人格神様







『あと、少しなのです……"ヤツ"…を…ヤツを抑えるまで、もう少しの辛抱です』



『じーやぁぁぁ!』





ドンッ、ドンッとアザを作りながら必死に檻を揺すり、老人に手を伸ばす



『じーや!出して!!暗いのは嫌だよ!』




その言葉を最後に、老人は牢獄の扉をしめ



黒い瞳から涙を溢す――…












『あと、少しなのです……グレン様が…眠るまで…海鈴様が…主(しゅ)になるまで………あと少しです……」





そう呟き、老人は……鳴り響く鳴き声と悲鳴に――…



胸を苦しめながら、ただ――…



聞いていた―――……






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