二重人格神様
あの優しい手を避けたことを、いまさら後悔してしまう
嫌いじゃない、優しいあの温もりは、ドキドキするし…暖かい。私のなかでよく分からない感覚に変わりつつある温もり
それを避けて、海鈴さんに嫌われたら
もうあの暖かさに触れられない。そんなの、そんなの…いやだ
「あ、の…海鈴…さっ」
「ごめん、もう、行く…」
「………ぁ」
「だから、嫌いにならないでほしいな」
視線だけ私に向け、小さく呟くと海鈴さんは視線を正面に戻し軽く息を吐きながら歩きだす
あ、いや、だ…海鈴さんが行ってしまう
嫌いになんか、嫌いになんかっ!
「ま…待って!」
グイッー…
「えっ!?」
震える身体を抑え、力強く海鈴の腕を掴むと、彼は瞳を大きく開き私と視線を絡ませる
「……いのり…?」
「あの、わたし」
「………………」
「その…え、と」
「……………」
「嫌いになんか…なって、ないっ」
「え?」
何を言われたのか、理解出来ないのか一瞬だけ首を傾げたかと思えば海鈴さんはクスリと笑い目を細める